さりはま書房徒然日誌2024年9月27日(金)

丸山健二『千日の瑠璃 終結4』八月二十七日を読む

ー自由への想いー

八月二十七日は「私は追憶だ」で始まる。「午前零時を回っても 思い出したように発作的にさえずるオオルリのせいで 留まるところを知らぬ」追憶が語る。
上記の文だが「回る」「発作的にさえずる」「留まるところを知らぬ」という言葉が絡み合って、追憶がからから回るような映像が浮かんでくる。


以下引用文。世一の母親の追憶の一コマ。「鳥になるべきだ」の一言に、丸山先生の自由を大切にされる生き方がおもわれる。

つれないことをさらりと言ってのけることと
   好男子であることで評判の占い師は
      「この子は鳥になるべきだ」と
         そうひと言呟いただけで、

         母親が幾度聞き直しても
            鳥の意味についてはまったく触れなかった。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』123頁) 

以下引用文。入院していて空っぽの世一のベッドを見つめる父親は、オオルリに怒鳴る。やはり、ここでも自由への切実な思いが伝わってくる。

まったくだしぬけに
   「黙れ!」とオオルリを一喝し
       鳥になりたいのは自分だと言った。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』125頁)

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