丸山健二『千日の瑠璃 終結4』九月一日を読む
ーオオルリの鳴き声に姉への想いを反応させてー
九月一日は「私は相談だ」で始まる。世一の姉が最近態度が冷たくなってきている恋人・ストーヴ作りの男のことをオオルリに相談する。
以下二箇所からの引用。オオルリの鳴き声に姉への助言を込めた作者の視点、変わりゆくオオルリの様子が印象に残る。
するとオオルリは
報恩の念にあふれた声でひとしきりさえずり、
ついで
だしぬけに荒々しい声に切り替え
ずけずけと物を言い、
つまり
あいつは男のクズだと鳴き
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』145ページ)
それから
最後にひと際厳しい声で
恋愛の行方は女の出方いかんで決まると鳴き
私への揺るぎない回答とした。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』145頁)