丸山健二『千日の瑠璃 終結4』九月五日を読む
ー子供らしくないのに心に残る世一の言葉ー
九月五日は「私は躊躇だ」で始まる。丘の上の家から下ってくる途中の世一がかられた「躊躇」が語る。
以下引用文。滅多に会話文を使わない丸山先生の「なんなら人間を辞めてもいいんだが」という子供らしくない台詞はどこか挑戦的で、不気味で、心に引っかかるものがある。
生きる勇気をさかんに鼓舞する青い鳥も次第に疲れを見せ始め
ために
私が再度勢いづいたことでその場にうずくまった世一は
「なんなら人間を辞めてもいいんだが」
そんなことを口走った。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結4』161頁)