さりはま書房徒然日誌2024年12月8日(日)

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十一月十三日「私は自転だ」を読む

十一月十三日は「私は自転だ」と少年世一を軸にした自転が語る。
「夜と思えば夜」「昼と決めれば昼」「早くもなり遅くもなり」と自転をつかさどる世一。
思うようにならないことが多い世だけれど、言葉を使い考えるときだけは、私たちも世一のように自転をつかさどって、時まで支配することができるのかもしれない。
それこそが言葉を使う意味であり、文学の役割であるのかもしれない。

少年世一を軸に
   人知れず
      人物のたぐいにも知られずに
         密かに回っている
            まほろ町の自転だ。

私には周期というものはなく
   世一が夜と思えば夜
      世一が昼と決めればそこには昼が存在し、

彼の望み次第
   好み次第によって
      私は速くも遅くもなり
         ときには完全に停止することさえあり、


しかしながらその認識は
   生死のいずれも関知しない彼には
      見事なまでに欠落している。

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』34ページ

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