丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月十一日「私は性格だ」を読む
十二月十一日は「私は性格だ」と、放火癖のある少年の「破綻すべくして破綻した そのくせ どこか気高い雰囲気を有する」性格が語る。
以下引用文。そんな少年を見つめる周囲の視線の冷たさ。
そんな彼らの視線の大半は
明らかに隔離や排除の勧めが込められ
針の束のごときぎらつきがちりばめられ、
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』147ページ)
以下引用文。ただし中には少年を肯定する眼差しも。そのうちの一人は丸山先生らしい姿で書かれている。
作家とは、世間から白眼視される存在にも共感して生きる、因業な生なのだなあと思う。
ところが
私を認め
私を肯定する眼差しが
ひとつならまだしもふたつもあって、
長身痩躯の青年やくざと
唐獅子を想わせる黒い犬を連れた中年の小説家だった。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』149ページ)