丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月十三日「私はペンキだ」を読む
十二月十三日は「私はペンキだ」と、「もしかしたら色褪せた心にも塗れるかもしれない 水性のペンキ」が語る。
寂れた旅館の女将はペンキを手にみずから屋根を塗ろうとする。
以下引用文。女将の目に映る世一をはじめ様々な人々。
ペンキが「色褪せた心にも塗れるかもしれない」と自分を語る言葉にも、「できることなら幸福に限りなく近い色で塗り潰してやりたかった」という言葉にも、丸山先生の優しい心情が感じられてよいなと思う。
そんなかれらを
私としては
できることなら幸福に限りなく近い色で塗り潰してやりたかった。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』157ページ)