さりはま書房徒然日誌2025年2月5日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月二十七日「私は杖だ」を読む

十二月二十七日は「私は杖だ」と、盲目の少女に両親が買い与えた白い杖が語る。
以下引用文。杖を与えられたときの少女の拒絶感が伝わってくる。「ヘビでもつかんだみたいに」は強烈な表現。

健常者の仲間から
   いよいよ本格的に外されてしまう時が訪れたことを悟り、

まるで蛇でもつかんだみたいに
   嫌悪を剥き出しにして投げ出し、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』210ページ)

以下引用文。なぜ少女が自分を嫌がるのか……という杖の考察は、丸山先生の観察眼だ。弱い者の視点に立つ……こうしたスタンスが丸山先生の作品のいいところなんだなと思う。

私を持ったがために自分に何が不足し
   何が欠けているかを
      改めて思い知らされ
         世間に知らしめることを恐れる余り
            なんとしても避けたかったに違いない。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』212ページ) 

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