丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月二十七日「私は杖だ」を読む
十二月二十七日は「私は杖だ」と、盲目の少女に両親が買い与えた白い杖が語る。
以下引用文。杖を与えられたときの少女の拒絶感が伝わってくる。「ヘビでもつかんだみたいに」は強烈な表現。
健常者の仲間から
いよいよ本格的に外されてしまう時が訪れたことを悟り、
まるで蛇でもつかんだみたいに
嫌悪を剥き出しにして投げ出し、
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』210ページ)
以下引用文。なぜ少女が自分を嫌がるのか……という杖の考察は、丸山先生の観察眼だ。弱い者の視点に立つ……こうしたスタンスが丸山先生の作品のいいところなんだなと思う。
私を持ったがために自分に何が不足し
何が欠けているかを
改めて思い知らされ
世間に知らしめることを恐れる余り
なんとしても避けたかったに違いない。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』212ページ)
