丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より一月二十一日「私は太陽だ」を読む
一月二十一日は真冬の太陽と世一が飼うオオルリの対話。
小さな体で太陽に思いっきり反論するオオルリは、どこか丸山先生を思わせる。この生意気というか不思議な存在、オオルリに丸山先生は自身の理想像を投影しているのではないだろうか?
「質量に支配された地獄」と言われると、はて、どんな地獄だろう?と足踏みして考えてしまう。どうしたら「地獄」に「質量に支配された」という言葉が浮かんでくるのだろうか?不思議である。
向こうっ気の強いその相手は
ならば
この世に生まれてこなければよかったと思う
全員の嘆きを綺麗に焼き尽くしてみるがいいと
そんな反論を投げかけてくる。
あまりの剣幕と屁理屈に
私が少しばかり怯んだところへ
鳥の分を超えた稀有な鳥はずばり切りこみ、
存在の大小にかかわらず
結局は質量に支配された地獄で足掻くしかない立場に
なんら変わりはないのだから
威張り散らすのは滑稽千万だと決めつけた。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』313ページ)
