さりはま書房徒然日誌2025年3月25日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より二月四日「私は象だ」を読む

まほろ町の動物園に運ばれてきた高齢の象。
以下引用文。象が見つめる雪のまほろ町は、ただの田舎町ではない。どこかで宇宙ともつながっている存在らしい。そんな象の気持ちに自然と一体化する。

そうしているうちに、象が観察しては語る人々の有り様も、受け入れる気持ちになってくる。
もし、これが人間の視点で語られたら、反発するかもかもしれない人物スケッチなのだが……。
こんなふうに雪に無心になる象の言葉だと、自然に受け入れてしまうではないか。

運動場に降り積もった雪の上に側臥した私は
   細い目をさらに細めて
      雪といっしょに天から舞い落ちてくる
         白色の無限や
            透明の永遠などを
               ぼんやりと眺め、

そうやって片田舎に身を置きながらも
   宇宙の中心で生きることの醍醐味を
      存分に満喫していた。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』366ページ)

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