さりはま書房徒然日誌2025年5月21日(水)

変わりゆく日本語の風景「しとしと」

今日文楽「芦屋道満大内鑑」を観ていたら「しとしとと歩く」というような詞章があった。

現代では「しとしと」と言えば雨に使われるイメージがある。

江戸時代、「しとしと」を足音に使っていたのだろうかと調べてみた。

以下、日本国語大辞典より「しとしと」の項である。
「しとしと」は足音にも使われていたし、「しとしと」以外にも面白い足音の表現が幾つもあるような印象を受けた。

足音に注意が向くほど、それだけ静かな時代だったせいなのだろうか
と羨ましくもなった。

(1)静かにゆっくりと物事を行なうさま、また、静かに歩くさまを表わす語。しずしず。

*日葡辞書〔1603~04〕「Xitoxito (シトシト)〈訳〉副詞。ものごとをゆっくり整然と行なうさま。例、Xitoxito (シトシト) モノヲ スル〈訳〉ものごとをゆっくり用心して行なう」

*絅斎先生敬斎箴講義〔17C末~18C初〕「重はばたつかぬ、しとしととあるく。てっしてっしとふみつけてあるこうとすると」

*浄瑠璃・吉野都女楠〔1710頃か〕かちぢの御幸「藤井寺を弓手になし馬手(めて)へさらさらしとしとしと、かつしかつしとあゆませて」

(2)雨などがしめやかに降るさまを表わす語。

(3)ひどく湿っているさま、また、濡れているさまを表わす語。じとじと。

(4)ゆっくりと強く打つさまを表わす語。



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