広辞苑や六法全書の生まれる場所、牧製本印刷会社の工場見学
今日は手製本工房まるみず組が企画してくれた見学に参加。板橋にある牧製本印刷会社の工場見学に行ってきた。
牧製本印刷会社は、広辞苑や六法全書など分厚い本の難しい製本を手がけている。それだけでなく、普通の上製本や並製本と幅広く手がけているそうだ。
八代目社長が最初丁寧に説明してくださる。最後の質問にも丁寧に答えて下さる。
見学のとき工場の方々はよく見学できるように、色々配慮してくださった。
有難い限りである。
↓私たちが日々お世話になっている広辞苑は、ここで製本されている。


玄関を入ると壁は木製でシック。応接ソファセットが置かれている。
出版された本も展示され、なんとも風格のある空間。
↓額の青い絵は牧製本印刷さんのロゴ。本をあしらっていてお洒落。


↓このシックな木の壁の裏が、広辞苑が作られる製本工場なのです。

牧製本印刷さんでは、働く人の安全性を高めたり、負担を減らす努力をされているように思った。
裁断機は手が離れないと刃がおりないように作られていたり……
↓この穴から空気が出ていて、紙の束を持ち上げてくれる。持ち上がった紙の束をスライドして、右側の裁断機に入れる。

↓たしか下の写真はページ順に折丁を重ねていく機械。この丁合(ちょうあい)の過程が一番緊張するとのこと。

↓奥は糸かがりの機械。使われている糸を持ってきて触らして下さる。細いけど、すごく頑丈な糸だった。↓

↓コンベアで運ばれてきた本の下でローラーが回転。接着剤を塗布。本が高温のトンネルをくぐれば、あっという間に接着剤も乾燥してしまう。

ミスが出ないように、人の目と機械の両方で測定され、エラー防止に努めているとのこと。モニターがあちらこちらにある。
コンベア奥のピンクの物体は加湿器。乾燥すると紙が反るので、その日の湿度に合わせて湿気を与えているとのこと。

↓本にスリップなどは三点までなら機械で挿入できるとのこと。
帯も機械でかけられるらしい。
ただし機械で箱に帯はかけられないので、全て手作業になるとのこと。
箱に帯がかかっている本には、立ちながら丁寧に手作業で帯をかけている製本会社の人の愛情がこもっている。

重量のある本なのに、仕上がりに不具合がないか一冊ずつ手に取って素早く確認していく社員の方々。
本はお姫様のように傷がつかないように、束の上と下にボール紙を挟み、大切に梱包される。↓

見学して、中で働いている方々の多さにびっくり!
黙々と手際よく丁寧に仕事をされている姿にびっくり!
色々な機械がたくさん稼働していることにもびっくり!
「そんな高い機械じゃありませんよ」と言われるが、それでも一台あたり生涯賃金並みの値段。
また見学して、製本工場で上製本をつくるには、手間も、時間も、空間も、並製本と比べたら倍以上に必要なことが分かった。
それでも上製本を必要とする人は絶えないだろう。
ただ私がトライしている短歌や小説という分野の場合、上製本で読んだり、作ったりするのは中々難しい時代になるのではないだろうか……人件費も、設備費用もペイできないもの。手製本を頑張るしかない。
でも牧製本印刷会社の社長はたしか「一冊からでも上製本を引き受けます」と優しく言われていた。
グループでの工場見学は大歓迎だそうなので、興味のある方々は見学して相談されてみてはどうだろうか。