さりはま書房徒然日誌2025年6月29日(日)

丸山健二『千日の瑠璃 終結6』より四月二十三日「私は海だ」を読む

優しさのあるボート屋のおやじ。その波瀾万丈な生涯を簡潔に、読み手に想像させるような文。
無理がたたって妻をなくしてから、どんな思いでこの男はうたかた湖を眺めてきたのだろうか……と色々思う。

覇権を握るための
   ただそれだけのための
      爛れた戦争が
         案の定
            この上なく無様な終局を迎え、

時代がさらに険悪な様相を呈してくると
   両人は流れる暮らしを始め、

流れ流れたあげくに
   まほろ町へと漂着し、

ともあれ
   湖畔に掘立小屋を建てて住み着いたのだ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』279頁) 

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