さりはま書房徒然日誌2025年7月2日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結6」より「私は労働だ」を読む

まほろ町の人々の「霊肉をせっせと蝕む」労働が語る。

以下引用文。労働の本質というものを、漢字混じりの固い文でビシッと言い当てている気がする。

阻害者であり
   暴圧者であり
      独裁者でもある私は
         単調と退屈を武器にしてかれらを日々責め立て、


勤惰いかんによって彼らを類別し
   のみならず
      この世における待遇まで決め、

僅かなことを聞き咎め
   のべつ苦言を呈し
      着意すべき点を徹底的に叩きこむ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』310ページ)

以下引用文に労働に翻弄される自分達の姿を見る思いがする。

それでいながらかれらは
   私を拒否せず
      しばしば私に泣きつき
         私のために陰湿な謀を巡らせるようになり
            多忙に取り紛れて生の本質を完全に見失い、

あげくに
   私なしでは生きる意味も甲斐もなく
      ために一日たりとも生きていられないと
         本気で思いこむ始末だ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』311ページ)

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