丸山健二『千日の瑠璃 終結6』五月六日「私は朝だ」を読む
まほろ町の公園に「ひっそりと訪れた 清々しくもどこか切ない印象の」朝が語る。
まだ公園にはいつもの人たちの姿はなく。
朝はそうした人たちの姿をシビアに語る。
以下引用文。世一もまだ来ていない。
世一の不在へのコメント「私はそのことにいたく満足しており そのことにいささか不満を感じている」というどこかユーモラスな文に、見えない朝という存在がどこかやけに人間じみたものに感じられてくる。
あとはもう人間を辞めて鳥にでもなるしかなさそうな
痙攣する肉体を纏いつづける
あの少年もいない。
私はそのことにいたく満足しており
そのことにいささか不満を感じている。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結6』333ページ)