製本基礎講座44回 『星の王子さま』丸背の改装本完成
手製本とは、目に見えない箇所を丁寧に時間をかけて作業することで出来上がるもの……と思いながら、今日も作業。
表紙の裏に見返しを貼る前に、段差をなくすため紙をはめ込む。ご覧の通り、かなり凸凹のある革の際をカッターで切る。

まだ凸凹があるけど、カッターで出っ張りをカットしたので少しマシになる。

見返しを貼る前に、革部分との段差を埋める厚めの紙を貼る。そして本文と合体。
アミアミに見えるのは寒冷紗、茶色は筒状のクータ。どちらも背を丈夫にするためのもの。
緑は見返し。本文と合体後、この見返し部分は表紙にはめ込んだ紙にくっつける。

背にタイトルを入れていく。まずは固定。

まるみず組がハンダゴテの会社に特注したマルミズペンでタイトルを書く。結構熱くなる。丸背に文字入れするのはペンが滑りやすく難しかった。

『星の王子さま』改装本の完成!


このあと、次回作るスリップケースの下準備。黙々と手術用メスで革をそぐ。
そぎが足りない箇所は、先生がそいでくださる。優しい。

作っている私にすれば、どの本も手間暇かかっているから、この本がいいとか思ったりせず、「あー、どの本も大変」と可愛いのだけど。
この革装にマーブリングの紙をはめ込む装丁は、編集歴の長い編集者さんからも感心されてしまった。
大量に生産流通している本にはない魅力が、革の質感、マーブリングの面白さにはあるのだろうか?
革はメスが怖いからパスかなあと思っていたけど、やはり自分でもトライしてみようという気になりつつある。