さりはま書房徒然日誌2025年8月25日(月)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より五月二十九日「私は勇気だ」を読む

こんな凄い風なら、幼児がさらわれそうになっても不思議ではない気がしてくる。

さながら回り舞台のごとく暗転したまほろ町を
   それはもう荒々しくよぎるつむじ風のなかにあって
      稚い幼児を庇う
         盲目の少女が発揮する勇気だ


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』22ページ)

すごい風に立ち向かうのは、盲目の少女、その白い飼い犬、世一という組み合わせも微笑ましくも、清々しい。

「勇気」の存在に気がついた少女の変化……「はたと」「数秒後に」という言葉が、少女の劇的変化を強調している気がする。

するとそのとき
   盲目の少女は
      はたと私に気づき、

その数秒後に
   誰かに頼って生きてゆくしかない
      常に何者かに守られて生きてゆくしかない
         そんな身の上であるという
            残念な立場から
               すっと離れられた。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』23ページ)

以下引用文。盲目の少女が勇気を出して幼子を風から守って得たもの。そうなのかもしれない。

助けてもらう喜びよりも
   助けてやる喜びのほうが
      はるかに大きいことを
         つくづく思い知ったのだ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』24ページ)

さりはま について

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: さりはま書房徒然日誌 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.