手製本基礎講座48回『手製本基礎テスト・卒業作品講評会』
昨年10月から毎週一回通ってきた手製本基礎講座もいよいよ最終回の48回を迎えた。
まずは手製本基礎テスト。私の年齢になって受けるテストは中々しんどいし、緊張する。
普段から凡ミスの塊みたいな私を見守る先生は、もっと心配そうな顔をされているような気が。
でも何とか合格点。

いよいよ作品講評会。
昔の本の改装本を出された方がいたが、昔の活版文字の美しさときたら……。
感心していたら、先生が十年ちょっと前まで板橋にあった活版印刷の会社、内外文字印刷(今は廃業)が活版印刷を手がけた手製本の歌集を見せてくださる。
活版印刷がとても美しい……
文字数の少ない英語圏は活版印刷がまだ芸術分野では盛んだということ。羨ましい。
俳句くらいなら活字を集めたらDIYで出来そうな気もするが、私は金属アレルギーの傾向があるので躊躇してしまう。

その他、先生から本文に入るまでのムードを高める空白の白いページ4ページの大切さ、本文のあとの余韻をひきずる空白の4ページ、いわゆるギャルド・ブランシュの大切さを教えて頂く。
白いページの後は章題を入れたりして、とにかくギュウギュウに詰め込まない大切さを教えて頂く。
コストと利益を重視しなくてはいけない商業出版には欠けている視点のように思える。でも大切な視点だと思う。
前後の四ページは忘れたと思うが、今回、1ページに一首配置するという手製本ならではの贅沢さを私も味わった。
他所に頼んだら絶対味わえないこの贅沢、1ページ一首だと余白のおかげで歌が違って見えてくる。
器用な人なら、手製本のテキストを見ながら作れば、DIYで1ページ一首の歌集ができる筈。トライする価値があると思う。

まるみずの講座の良いところ……
不器用で、呑み込みも悪く、凡ミスの多い私が、こうして本らしく見えるものを一人で作れるようになった……だけで、まるみずの講座が優れているのは分かると思う。
それはなぜか?
先生が「きちんと教えたら、いい加減な人はこないと思ってカリキュラムを一生懸命考えた」というようなことを言われていた。
確かにまるみずのカリキュラムは、製本という非日常的な作業が身につくように、パターンを変え、難易度も少しずつアップして、飽きずに繰り返し反復が出来る優れものだと思う。
また毎回、とても丁寧に作られた手順説明のプリントが用意されているのも良い。
家で宿題をしたり、一人で作るときに、このプリントにとても助けられた。
ちなみにこのプリントは図解入りである。図解と説明の文を混ぜてプリントを作成する労力は大変なものがあると思う。
さらに途中から講座の最初に製本計算ドリルがスタート。初めのうちは何が何だか分からなかったが、だんだん慣れてきた。
ドリルがないと、自分では計算なんて面倒なことはしない。
そして宿題も途中から始まった。思うようにならない宿題を提出しては、先生に助言を頂いたのも、とても勉強になった。

まるみずで学んだのは手製本のことだけではない。
先生が企画してくれる見学会のおかげで、和紙職人、箔押し職人、製本職人の丁寧で、細やかな作業が本を作ってくれていることを知った。
でも奥付を見ても、本を形にしてくれる製本会社まで記載してくれている出版社はとても少ない。
それでも製本会社の人たちは難しい注文を丁寧にこなしていっている。
そんな姿に学ぶことが多かったように思う。
色々教えてくれた まるみず組に感謝。
製本の世界は深い。これからも まるみず組で学んでいきたい。
(文字ばかりだと疲れるので、先日のマーブリング講座で作ったマーブリングの写真を入れた)