丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より六月十七日「私は伐採だ」を読む
「森を森でなくし 山を山でなくし まほろ町をまほろ町で無くしてしまう それこそ手加減なしの大規模に及ぶ」伐採が語る。
丸山先生は「千日の瑠璃」を最初に刊行した1992年に、いち早く木をどんどん伐採してゆく人間の傲慢を見ていたのだなあと思う。
そんな伐採に立ち向かっていくのは、不自由な身体の世一。
弱い者が真実を見る目のひたむきさ。
破れても立ち向かう気概。
そんな理想を丸山先生は世一に見ているのではないだろうか。
そんなきょう
もし木に生まれついていたならば
間引かれて当然の
鳥の気配を色濃く漂わせた少年が
事もあろうに素手で私に立ち向かい、
しかし
作業員にたちまち組み伏せられて
現場からあっさりつまみ出された。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』104ページ)