さりはま書房徒然日誌2025年10月2日(木)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より六月二十三日「私は跳躍だ」を読む

うたかた湖の、まほろ町の主でもある巨鯉が披露した「跳躍」が語る。

丸山作品の主人公たちは、一見救いがないような弱者なのに、丸山先生が語るその姿には希望が、未来があふれている。

そんな文に読者は救われ、己の有り様を考え直すのかもしれない。

私を目撃したのは
   少年世一と盲目の少女ふたり
      それに
         四六時中少女の面倒を見てやっている白い犬だけで、

雨やみのあいだに遊びにきたかれらは
   沖へ向かって
      未来へ向かって
         突き出ているぼろぼろの桟橋を
            慎重な足取りで渡り、

その突端に

   肩を並べて佇んだ。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』122ページ)

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