さりはま書房徒然日誌2025年11月6日(木)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より七月二十三日「私は映画だ」を読む

映画を観るのが大好きな丸山先生らしい文だなあと思う。

以下引用文。
映画を映画館で観るとき、まったく知らない者同士が並ぶ不思議さ、束の間の連帯感で結ばれる不思議さが書かれている。

でもネットで映画を観るようになって、こういう連帯感も失われつつある、と寂しくなる。

そんなかれらは
   それなりに私にのめりこみながら
      各人に互いの存在を意識し合っており、
         思わず苦笑が一致した際には
         ほとんど絆に近いものすら錯覚し、

そして
   ある種の連帯感すら抱くのだ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』244ページ)
    

以下引用文。

映画を観た後、現実へと戻されていくつまらない感じが思い出されてくる。

三本目をまだ観ていない者はトイレへ寄り
   全作品を観終えた者はそそくさと出て
      虚構ではない
         面白くもなんともない現実の奥へと
            あっさりと呑みこまれてしまう。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』245ページ)

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