さりはま書房徒然日誌2025年11月15日(土)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月三日「私は集中豪雨だ」を読む

以下引用文。

まるで集中豪雨が意思を、自然破壊をする人間への怒りをもって行動しているように感じる。

最後の「マツムシソウの群生地」という箇所が切々と自然破壊の惨たらしさを語りかけてくる。

私が例年になく粗暴な振舞いに及んだのは
   湖に面した西側の山々がまる裸にされたからで、

樹木を失った山をひと想いに押し流してやろうと
   大量の土砂を湖へ運び入れ、

ために
   魚の鰓や水草の気孔を塞いでしまい、

深夜になって崩した小さな山が大きな土石流となって
   造成中の別荘地へどっと襲いかかり、


家がまだ一軒も建てられていない雑木林の一角と
   マツムシソウの群生地である草原の一部を
      完璧なまでに叩きのめした。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』 287ページ)

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