丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月五日「私はスターマインだ」を読む
夜空に打ち上げられたスターマインが語る。
以下引用文。
冷ややかで美しい花火を語るのに、こんな書き方があるとは思わなかった。
花火が見ているのは観客ではなく、観客の酔眼に映るおのれの映像……。
人間の愚かさと花火のナルシズム的美しさの対比が面白い。
だが私の興味は
だらだらとありきたりな営みを重ねて
ほとんど誰にも影響や感銘を与えることなく死んでゆく
そんな連中に在るのではなく、
わが関心のすべては
いつだって
かれらの朦朧とした酔眼にくっきりと映し出される
私自身に在るのだ。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』297ページ)