丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月七日「私は霞だ」を読む
「まほろ町にゆらゆらとたなびく 季節外れの霞」が語る。
以下引用文。なんとも霞らしい言葉である。そして読んでいると、霞の言葉に心が楽になる。
そして私は
少年世一をも含めた
まほろ町の住民全員に向かって、
「何事も運任せに生きよ」という
あまりに投げやりな言葉を発し、
(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』304ページ)
以下引用文。「ろくでなしの太陽」「一気に私を殺しにかかる」という強い言葉で終わる結末が、それまでの霞のふわふわした感じをひっくり返す意外さが面白い。
ところが
早くも夏の短夜が明け渡ったかと思うと
ろくでなしの太陽が一気に私を殺しにかかる。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』305ページ)