さりはま書房徒然日誌2025年11月18日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月七日「私は霞だ」を読む

「まほろ町にゆらゆらとたなびく 季節外れの霞」が語る。

以下引用文。なんとも霞らしい言葉である。そして読んでいると、霞の言葉に心が楽になる。

そして私は
   少年世一をも含めた
      まほろ町の住民全員に向かって、
         「何事も運任せに生きよ」という
             あまりに投げやりな言葉を発し、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』304ページ)

以下引用文。「ろくでなしの太陽」「一気に私を殺しにかかる」という強い言葉で終わる結末が、それまでの霞のふわふわした感じをひっくり返す意外さが面白い。

ところが
   早くも夏の短夜が明け渡ったかと思うと
      ろくでなしの太陽が一気に私を殺しにかかる。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』305ページ)

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