丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月十二日「私は洞窟だ」を読む
訳あって家を失ってしまった若者が転がりこんだ洞窟。
その洞窟が語る若者の追い詰められた心情。
その心をよく見つめていながら、「洞窟」という第三者?に語らせることで冷静な視点を保っているように思い、その分感動が強まる気がする。
遣りきれない孤独感も
底なしの虚しさも
容赦のない煩悶も
好き勝手に出入りして
自由に暴れ回るのだが、
(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』323ページ)
