さりはま書房徒然日誌2025年12月2日(火)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月十六日「私は球電だ」を読む

球電というのは、雷雨の時に見られる球のように発光する現象。

雷雨のこの世のものとは思えない凄まじさ、

弱い筈の世一。その不思議な存在感、

そんなものが混然として美しい描写だなあと思う。

すぐ後を追う私に
    彼がまったく気づかないのは
      あながち雷鳴や土砂降りの雨のせいばかりではなく、

思うに
   病がもたらした途方もない集中力の為せる業に違いなく、

つまり
   自我への認識の度合いの異様な深さによるもので、


落雷は山にも町にもあって
   その都度
      野人に等しい少年の姿をくっきりと照らし出し
         瞬間の火柱を立ち昇らせる。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』340ページ)

さりはま について

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: さりはま書房徒然日誌 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.