さりはま書房徒然日誌2025年12月4日(木)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月十七日「私は虫唾だ」を読む

「鋭い眼光でもって世間のあちこちをねめつけながら 僅かな揉め事でもけっして見逃さない そんなやくざ者に走る虫唾」が語る。

やくざ者が虫唾を走らせる様々な人間。

その中には、丸山先生と思われる人間も入っている。

果たしてどこの誰が読むのか見当もつかぬ
   小難しい一物を物するために
      この世に向かっていちいちいちゃもんをつけ
         厭世と楽観の狭間を
            その日その時の気分に従って縫い
               かくも相応しい環境と条件の下で
                  せっせと書きつづける小説家だ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』345ページ)

小説家の書くという営みを「この世に向かっていちいちいちゃもんをつけ 厭世と楽観の狭間を その日その時の気分に従って縫い」と表現。

たしかにそうだなあとも、面白い表現だなあとも思う。

一方で、それゆえ小説は世間の有り様が違ってくると、価値観や目のつけどころの面白さがずれてきて、いち早く忘れ去られてしまうのかも……とも思った。

さりはま について

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: さりはま書房徒然日誌 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.