さりはま書房徒然日誌2025年12月11日(木)

応用製本講座 並装から上製本へ改装へ&

本を美しくする秘密をちょびっと知る

中板橋の手製本工房まるみず組の応用製本講座「並装を上製本へ」の続き。

ようやくバラしたページを和紙でつないで折丁にした。

終わったらくっつかないように真ん中を開けて干す。↓

糸でかがって折丁をつなぐのは後日。

合間に心になぜか存在感が残る本を何冊か見せ、その秘密を先生に伺う。

色々説明してくださったが、頭からたくさんこぼれてしまった。おぼろに残っていることを以下に。

まずはこちら。

「光の函 佐中由紀枝写真集」

ジャケットの平と背に箔押しされたタイトルの文字が効いている、とのこと。

ちなみに箔押しは製本所ですることも出来るとのこと。製本所の近くに箔押し屋さんがあったりするそうだ。

ちなみにジャケットを取ると、こんな風に。↓

ドイツ装かと思ってしまうデザインが面白く、ここでも背の箔文字が効いている、そう。

同じ著者が絵を描いた画文集、佐中由紀枝・画 福島泰樹・文『追憶の風景』も持参。

この本もジャケットを取ると、金の箔文字が印象的。↓

ここで先生が分厚いクロス帳を取り出してくれ、この本の布装に使われているクロスを調べてくださる。

手製本工房はクロス帳も、紙の見本帳も揃っているので、こういう時ささっと調べてもらえるのが有難い。

この白いクロスはどうやら「ミルキー」という銘柄らしい。

ミルキーに金の箔文字。この素敵な組み合わせを覚えておこう。

それからPASSAGEの棚主でもある真名井大介さんの詩集『生きとし生けるあなたのために』も見せる。

この詩集もタイトルが金の箔文字になっている。先生が箔文字を隠すと、ずいぶん印象が違ってくる。

この小さな箔文字のタイトルがお星様のようにも見えてくる。

それからこの詩集は、後書に紙の名前を記されるほど紙にこだわっている。

その紙が優しい印象を生み出しているとのこと。

また袋綴じという製本方法を使われているが、これは対応できる製本会社が限られているし、普通の製本よりコストアップしてしまうそうだ。

でも、その袋綴じが優しいイメージを生んでいるそう。

製本方法、紙、内容、タイトルの箔文字、表紙の絵……すべてが優しさと本の美しさにつながっている。

でも最後に先生は「お金をかけた本というものは、いやらしくなることがあるから気をつけて」と言われる。
まあ、そんな本にかけるお金は私にはないけど。


そして栃折久美子さんが出された製本についての本を見せてくださる。

手製本についての本だから……と糸かがりにはこだわったそう。

でも見返しは本文と同じ紙を使いコストダウン。

コストダウンしても見返しに直筆の製本メモを印刷。それがとてもお洒落。

コストダウンしてお洒落になるなんて素敵!

その他、薄い器を作っている陶芸家の作品集を見せてくださる。

薄い陶器に合わせたのか表紙も薄いボール紙を使っているそう。そして見返しにやはり楽しい創作メモが印刷されている。

本って色々お金をかけずしてこだわることが出来る……でも、それを考えるのは大変だけど。

色々教わって癒されたひとときだった。

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