アダム・スミス道徳感情論 1.1.41 共感的心情の持ち主もいれば、自分のことだけしか考えない人もいる

どれほど好ましく思えることか。共感的心情の持ち主と、打ち解けて話している相手の感情が、すっかり響きあっているようにみえるときに。相手の災難を悲しみ、相手がうけた侮辱に憤り、そして相手の幸運を喜ぶときに、共感的心情の持ち主がどれほど好ましく思えることか。相手の状況を切実に感じては感謝され、どんな慰めであれ、優しい友達の、思いやりのある共感から生まれる慰めを感じる。だが、それとは反対の場合、どれほど不快に思えることか。とげとげしく冷淡な心で、自分のことだけを考えるときに。しかも、他人の幸せや不幸をまったく感じないときに。こうしたときにも、私たちは相手の痛みに分け入っていく。他人の不幸や痛みに無感覚な者の存在は、親しく話しをする限られた生の持ち主すべてに、苦痛をあたえるにちがいない。なかでも共感的心情をいだくことの多い不運なひとや、傷ついたひとには、とりわけ苦痛をあたえることだろう。(さりはま訳)

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