さらに等しくなるように富を分配することが望ましいということを当然とするなら、どうすれば資産制度における変化、自由貿易の制限を正当化することができるだろうか。たとえ、そうした変化や制限が、富の総計を減らすようにみえるとしてもである。言い換えるなら、どのようにすれば貧困層の収入の増加と労働時間の短縮の両立を目指すことができるののだろうか。そうすることで、国家の物質的豊かさが減ることになるとしてもである。不公平さを生じることもなければ、進歩をすすめようとする指導者のエネルギーを弱めることもないように、貧困層の収入の増加と労働時間の短縮は成し遂げるにはどうすればよいのか。どうすれば、税の重荷は、社会の異なる階層に分配することができるのか。(1.Ⅳ.13)
労働の分割について、現在の形に満足したままでいいのか。大勢の人々が向上する見込みのない仕事に、ひたすら専念していることは必要なことなのか。働き手の集団のなかにいながら、より高いレベルの仕事をするため、労働者に新しい能力を教えることは可能なのだろうか。とりわけ、雇用先の会社の経営を協力的に引き受けるため、労働者に新しい能力を教えることは可能なのだろうか。(1.Ⅳ.14)