「今夜、きちんとした集まりに行くんだ」コーマスは満足げな笑いで答えた。
「かあさんとヘンリーおじさん、それから束になった退屈な信仰心のあつい連中と夕食をとる」
フランチェスカは驚きと当惑のあまり息をのんだ。
「まさかキャロラインが今夜、おまえを夕食に招いたということなの」彼女はいった。「しかも私に相談もなく。彼女がやりそうなことだこと」
レディ・キャロライン・ベナレスクは、人々の繊細な感情も、尊重されるべき嫌悪感も無視して発言したり、行動したりすることができる年齢になっていた。今の年齢に達するのを待って、そうした行動へとすすんだのではない。彼女の家系とは、揺りかごから墓場まで、機転と機知を発揮して生きていくように出来ているからであり、それはまるで込み合った浴場におけるサボテンの生け垣のようなものだった。彼女の一家が外の世界でなく、身内で言い争うのはせめてもの慈悲であった。よく知られている宗教と政治の多様性や陰などあらゆることに対して、彼女の一族は人生の重要な要素から、アイルランド自治獲得運動のような危険が生じる可能性を避けるようにして動き、さらには地方自治の分裂、関税の大改革、婦人参政権論の女性との聖戦などの予測できない出来事は、ありがたいことにも、更なる不一致を生じて散り散りになるための、飾りのような機会として理解されていた。レディ・キャロラインが楽しみにしている好みの計画とは、身近な人に軋みと相反する要素をもたらすことであり、無情にも互いを争わせることであった。「こうした状況のほうが結果がよくなるものよ」彼女は意見をよくのべた。「互いに会いたいと願う人たちよりは。それに敵を失望させることくらい、誰も友達の心に深く残る話し方はできないものだから」