サキ「耐えがたきバシントン」Ⅳ章 32回

晩餐会は盛大なものであったが、フランチェスカが遅く到着したため、客の名前を確認するための時間もなく、テーブルの端の彼女の席のむかいには「ミス・ドゥ・フレイ」と名前が記されたカードがおかれ、一方の相続人女性をさししめしていた。フランチェスカの癖なのだが、まずメニューを注意深く端から端まで目をとおしてから、それと同じようにして向かいの席の娘についても注意深く、でも目立たないように詮索したが、取り立てて言うほどの娘でもないが、それでも彼女の収入はすべて望ましいものだった。彼女はたしなみのある栗色の服装で可愛らしく、表情はまじめで思慮深く穏やかであり、考え込んで取り乱すような気質を隠していた。態度は非難めいて言うなら、かなりぞんざいであった。だが素晴らしいルビーを身につけた様子は、家にはもっとあるけれど、間に合わせることが出来なくてというような説明しがたい雰囲気があった。

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