サキ「耐えがたきバシントン」 Ⅳ章 41回

少なくとも彼女が自分で見つけた慰めとは、もしヨールが割り込んできて、求婚しようとして友達のコーマスをおしだそうとしたところで、コーマスの方が有利な出発点にたっているということだった。コーマスは、その日の昼食会で、ミス・ド・フレイについて、さりげなく、しかも冷静に言及していた。もし夕食会の客の話題があがらなければ、おそらく彼女について言及することはなかっただろう。だが、二人はがとても仲の良い友達であることは明らかだった。ブルー・ストリートの家が緊張状態にある原因とは、フランチェスカが夕食会の客を淘汰していくうちに思いがけず、この非常に興味をひかれる相続人を知るようになったからであった。

レディ・キャロラインの声が彼女の思考をさまたげたが、それはいかにも満足げな声で、長々とした夕食の食卓に響きわたるような、そっとする特徴をそなえていた。

「愛すべき聖堂の助祭長ときたら、心がここにないものだから。ある日曜の最初のレッスンで読まれたのは、家族の大切さでもなく、約束の地カナンに入ったイスラエルの多くの民のことでもなくて、なんとオペラのバルコニー席をもっている人達の一覧だったのよ。幸いなことに、誰も間違いに気がつかなかったけど」

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