「遊女物語」 8回 大正2年 和田芳子

 

と、さんざんに()(ごと)()はされ、嫌なことを言はれましたが、(じつ)()ふと、私は(むし)ろ女将さんから、「お前がまあ、()の忙しい中に、()の本を書いたかい大萬楼(だいまんろう)から花魁(おいらん)の作者が出たと、お蔭で私の鼻が高くなるわ。」くらゐに、ほめられたかつたのである。(しか)るに、意外にも、身勝手屁理屈(へりくつ)()(ごと)頂戴(ちょうだい)た。(けだ)花魁(おいらん)不平()は、人達が、嫉妬(しっと)()、お女将(かみ)()()である。不平不快(いだ)()()()

 

 ()初會(しょかい)登楼(あが)で、二階自分部屋で、()鉄道役人()待遇(もてな)と、女将(おかみ)女将(おかみ)

 

「今二六新聞社から電話が(かか)ら、、お本名を、(なん)()よ。(へん)ら、(きみ)()()女郎(おんな)は、此楼(こちら)よ。おへ、へ、()ないかえ。

 

(いい)え、私、。」

 

「さうかい」

 

と、女将(おかみ)ほ、怪訝(おかし)()やう(かほ)が、面倒さいら、()部屋た。

 

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