アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」1章27回

「よかったな」老メイはいった。「あまり客をむかえることはないから、おまえのアイザックおじさんに会えてよかったよ、ナン。それからバトソンさんにも会えてよかった」彼は分け隔てなく言い添えた。

「そうね」ベッシーの母親は素直にこたえた。「とても立派な紳士だったわね」

「忘れていた」老人はふといった。「ここを出発するまえに、ビールを少し飲んでもらえばよかったな」

「紅茶を待っているあいだに、あのひとたちはいくらか飲んでいたわ。でも、たくさん残っているなんて思わなかったものだから」窓辺の飼育箱から、彼女がひっぱりだしてみせたのは、空になった大瓶だった。だが、その中身は空っぽだった。

「おや」その瓶を注意深く調べているときに、老人がいったのは、たったそれだけであった。

やがて彼は離れにむかい、安物の鍋と刷毛を手にして現れた。「糖蜜を少しとりにいこう」彼はいった。「くるかい、ジョニー?」

少年はポケットから帽子をひっぱりだすと、ランタンをとってきた。すぐに用意はととのい、そのあいだにベッシーは遅ればせながらの紅茶をとった。

 

“Well,” old May observed, “we don’t often have visitors, an’ I was glad to see your Uncle Isaac, Nan. An’ Mr. Butson, too,” he added impartially.

“Yes,” returned Bessy’s mother innocently. “Such a gentleman, isn’t he?”

“There’s one thing I forgot,” the old man said suddenly. “I might ha’ asked ‘em to take a drop o’ beer ‘fore they went.”

“They had some while they was waitin’ for tea. An’—an’ I don’t think there’s much left.” She dragged a large tapped jar from under the breeding-box at the window, and it was empty.

“Ah!” was all the old man’s comment, as he surveyed the jar thoughtfully.

Presently he turned into the back-house and emerged with a tin pot and a brush. “I’m a goin’ treaclin’ a bit,” he said. “Come, Johnny?”

The boy pulled his cap from his pocket, fetched a lantern, and was straightway ready, while Bessy sat to her belated tea.

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