アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」10章107回

母親と息子は嬉々として家路についた。ナン・メイの悩みの種は解決され雲散霧消した。そしてジヨニーにとっても、驚きにみちた世界が目の前にひらかれた。これから、蒸気がエンジンをどう動かしていくのかについて理解してくことになる。しかも一日中、エンジンがうごくところを見ることになる。実際、自分でエンジンをつくることもあるだろう。しかも、こうして楽しみながら追求して、おまけに賃金も支払われるのだ。一週間に六シリング、これが最初の年、見習いに支払われる金額だった。つまり日々、一シリング支払われるということである。次の年には、八シリングが支払われる。さらに次の年には十シリングになり、さらには…。やがて二十一歳で一人前の男になり、以前、父親が働いていたように技師になるだろう。それに絵を描くこともできる。あの紳士は、暇な時間には絵を描くようにといっていた。ハンマーが叩く音は、さながら仕事が奏でる陽気な鐘の音で、自分たちの人生の設計図を描いているようだ。川をすすむ蒸気船の警笛も、動きながら奏でられる音楽のようだった。

 

Mother and boy went their way joyously. Here was one of Nan May’s troubles dissolved in air, and as for Johnny, a world of wonders was before him. Now he would understand how steam made engines go, and all day he would see them going—he would make engines himself, in fact. And for this delightful pursuit he would be paid. Six shillings a week was what apprentices got in their first year—a shilling for every day of work. Next year he would get eight shillings, and then ten, and so on. And at twenty-one he would be a man indeed, an engineer like his father before him. More, he was to draw. The gentleman had told him to draw in his spare time. The clang of hammers was as a merry peal from the works that lined their way, and the hoots of steamships on the river made them a moving music.

さりはま の紹介

更新情報はツィッター sarihama_xx で。
カテゴリー: アーサー・モリスン, ロンドン・タウンへ パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.