チェスタトン「マンアライヴ」一部一章第27回

他の三人の男たちは出来事に埋もれ、埋葬されたかのようであり、その上には出来事がまた積み重ねられているかのようだった。そこは荒々しい世界であり、或る出来事がはじまるよりも前に、別の出来事が起きていた。三人の男たちが、皆、最初に考えたのはこういうことだった。三人の男たちがそこに暮らすようになって五年たち、この下宿屋のことはよく知っていた。三人の誰もが活動的で、力強かった。だが、誰も木を登ろうとは思いもしなかった。そのほかに、イングルウッドが最初に感じたのは単なる事実だが、色彩というものであった。明るく生き生きとした葉、寒々とした青空、荒々しい緑の手足、こうしたものを見ているうちに、彼が理性を失って思い浮かべたものとは、幼年期に光り輝いていた何かであり、黄金色の木の上にいる派手な男と似た何かであった。おそらくそれは棒の先の、彩色された猿にすぎないものだろう。

 

The other three men seemed buried under incident piled on incident— a wild world where one thing began before another thing left off. All three had the first thought. The tree had been there for the five years they had known the boarding-house. Each one of them was active and strong. No one of them had even thought of climbing it. Beyond that, Inglewood felt first the mere fact of colour. The bright brisk leaves, the bleak blue sky, the wild green arms and legs, reminded him irrationally of something glowing in his infancy, something akin to a gaudy man on a golden tree; perhaps it was only painted monkey on a stick.

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