再検討 サキ「耐えがたきバシントン」一部一章第三回

そしてとりわけ彼女の宝物のなかでも、この部屋にある品々のなかでも抜きんでているものは、彼女の意見では、偉大なファン・デル・メーレンの絵であり、それは持参金の一部として父親の家から持ってきたものだった。その絵がぴったりと収められているのは、象牙細工の、幅の狭いキャビネットの上の方で、木目込みの壁の中央にぴったりはめ込まれた様子は、部屋の構成からも、釣り合いからも、まさにその空間にふさわしかった。どこに座ろうとも、その絵は部屋を圧倒するように迫ってきた。心地よい静けさが壮大な闘いの場面にただよい、重々しい宮廷の武人たちがまたがる馬は後ろ足で大きく立ち、その馬の色は灰色、茶と白のまだらや月毛であり、すべてがまじめに、真摯に描かれていた。それでもどういうわけか受ける印象は、軍事行動が大がかりで真剣なピクニックであり、荘重なものだということだった。フランチェスカにすれば、部屋をおぎなう物としては最高の、重々しい感じでかかっている絵がない自分の居間を想像することは出来なかった。それは、ブルー・ストリートにあるこの家以外での自分を想像できないようなもので、この家は万物殿さながら、大切な家庭の神々がまつられていた。

And above all her other treasures, dominating in her estimation every other object that the room contained, was the great Van der Meulen that had come from her father’s home as part of her wedding dowry.  It fitted exactly into the central wall panel above the narrow buhl cabinet, and filled exactly its right space in the composition and balance of the room.  From wherever you sat it seemed to confront you as the dominating feature of its surroundings.  There was a pleasing serenity about the great pompous battle scene with its solemn courtly warriors bestriding their heavily prancing steeds, grey or skewbald or dun, all gravely in earnest, and yet somehow conveying the impression that their campaigns were but vast serious picnics arranged in the grand manner.  Francesca could not imagine the drawing-room without the crowning complement of the stately well-hung picture, just as she could not imagine herself in any other setting than this house in Blue Street with its crowded Pantheon of cherished household gods.

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