チェスタトン「マンアライヴ」一部四章第90回

第四章 神の庭

 

ダイアナ・デュークは不可解なことながら、突然、相手があらわれたことにも、他の娘の話題をだされたことにも、どうやら苛立っているように思えた。

「そう」彼女はそっけなく言った。「彼と結婚したくなければ、グレイさんは断ることもできるでしょうよ」

「そうなんだけど、彼女ときたら彼と結婚したがっているの」ロザムンドは憤りながら言った。

「彼女はどうかしているわ。軽率なお馬鹿さんよ。でも彼女から離れたくないの」

「どうやらそのようね」ダイアナは冷ややかに言った。「でも、私たちにできることがあるかしら」

「だって、あんな変なひとなのよ、ダイアナ」彼女の友達は立腹して言った。

「彼女はいい家庭教師なのよ。変な男と結婚させたくないわ。あなたでも、他のひとでもいいから、結婚を阻止してもらいたいの。イングルウッドさん、お願いよ。ふたりのところへいって、結婚は出来ないと教えてあげて」

「残念なことながら、結婚はできるように思えます」イングルウッドは絶望をただよわせながら言った。「私にはふたりの邪魔をする権利はありませんし、それはミス・デュークも同様です。また私には道徳上の力もありませんし、ミス・デュークにもありません」

 

Chapter IV

The Garden of the God

Diana Duke seemed inexplicably irritated at the abrupt entrance and utterance of the other girl.

“Well,” she said shortly, “I suppose Miss Gray can decline him if she doesn’t want to marry him.”

“But she DOES want to marry him!” cried Rosamund in exasperation.
“She’s a wild, wicked fool, and I won’t be parted from her.”

“Perhaps,” said Diana icily, “but I really don’t see what we can do.”

“But the man’s balmy, Diana,” reasoned her friend angrily.
“I can’t let my nice governess marry a man that’s balmy!
You or somebody MUST stop it!—Mr. Inglewood, you’re a man;
go and tell them they simply can’t.”

“Unfortunately, it seems to me they simply can,” said Inglewood, with a depressed air. “I have far less right of intervention than Miss Duke, besides having, of course, far less moral force than she.”

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