チェスタトン「マンアライヴ」二部一章第234回

「君は、骨と皮だけという状態だとはあまり思えないのだが」イームズ博士は微笑みをうかべながら言った。

「このありさまは、たぶんに祝宴のせいだ」がっしりとした若者は答えた。「骸骨だってスタイルを保てないじゃないか、いつも食べていたなら。でも僕が言いたいのは、そういうことじゃないんだ。僕が言いたいのは、一瞬、死の意味を見たということなんだ。そう、頭蓋骨と大腿骨からなる骸骨を見たんだ。その骸骨のおかげで、これからの人生を考えただけじゃない。今の生活のことも考えてみたよ。僕たちの精神は弱いものだから、来世では歳をとってしまうだろよ、だから死があって、死のおかげで僕たちは若いままでいるんだ。神は、不死を僕たちそれぞれに切り分けてくださるというわけだ。乳母が指の長さではかって、バターを塗ったパンを切り分けてくれるように」

 

“`You can scarcely be called a skeleton,’ said Dr. Eames, smiling.

“`That comes of being so much at the feast,’ answered the massive youth. `No skeleton can keep his figure if he is always dining out. But that is not quite what I meant: what I mean is that I caught a kind of glimpse of the meaning of death and all that—the skull and cross-bones, the ~memento mori~. It isn’t only meant to remind us of a future life, but to remind us of a present life too. With our weak spirits we should grow old in eternity if we were not kept young by death. Providence has to cut immortality into lengths for us, as nurses cut the bread and butter into fingers.’

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