さりはま書房徒然日誌2023年7月8日(土)旧暦5月21日

谷中生姜の風景も移り変わって

先日、畑から採ったばかりの谷中生姜を頂いた。根が美味しいのはもちろん、葉っぱもレモングラスのような香りがして冷蔵庫の脱臭をしてくれる気がする。

効能も免疫力アップ、体を温めるなど色々あるようだが、最近、地元の庶民的なスーパーでは見かけない気がする。高級スーパーなら扱いはあるのだろうか……。

谷中生姜の季語は夏。谷中生姜をテーマにした俳句を幾つか。

貧しさや葉生姜多き夜の市 (正岡子規)

朝川の薑(はじかみ)洗ふ匂かな(正岡子規)

一束の葉生姜ひたす野川哉(正岡子規)

子規の時代、谷中生姜は貧しい生活を彩る季節の匂いだったのだろうか……。生姜だけでも見える風景はずいぶん変わったものである。

仁木悦子「白い部屋」を読む

小説現代80年5月号収録。現在は短編集「赤い猫」に収録されている。亡くなる6年前、52歳の時の作品である。

文庫本にして50頁ほどの中短編である。

そこに病室のメンバーたち、アパートの住人たち、もと華族の子息たち、お屋敷のお爺さんと令嬢を登場させるものだから、人物の差が描ききれていない感がある。非ミステリ読みとしては、こじつけ感にあふれている気がして面白くない。

なんとか頁数を稼ぐために登場人物をむやみに登場させたのではないか……と思うくらいに冗長である。初期短編にキラっとしていた仁木悦子の輝きは失われているようで残念である。

ただ宝くじ、新幹線、黄色と淡緑のキオスクの紙包み……とか昭和感には満ちていて、なんだかそんな包装紙を見たことがあるなあと懐かしくはなった。

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