さりはま書房徒然日誌2023年10月12日(木)

丸山健二「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻を少し読む

ー心に残った言葉を抜き出してみたー
ー五音七音が多い!日本語の美は五音七音に宿るのかもー

津波を生きのびた青年が思い出してゆく介護の果てに義母を殺めた記憶、おのれも自殺した記憶。
今日は義母を殺めた場面を読む。


そして今日はワンセンスではなく、心に残った語をあちこちの文からパパッと抜き出してみた。

丸山先生の作品には、「楕円軌道」とか「連鎖」とか時々見かけて、妙に印象に残る言葉が幾つかある。

そうした言葉は、その都度違う使われ方をしている。
紙の本の方がいいけれど、こういうときは電書の方が比較できて便利な気もする。

ちなみに短歌は、小説からいいなあと思ったフレーズを取り出して、歌に組み入れることはよいそうである。

トリビュート丸山健二」……なんてテーマの、丸山作品から好きな言葉を抜いて短歌をみんなでつくる歌会があれば楽しそう……とも夢想する。

とりあえず次回の八丁堀の歌会、七首のうちの二首は今日の引用部分にある「連鎖」が心に残ったのか、自然と「連鎖」をいじりたくなり歌ができた。

「連鎖」という言葉は、何を持ってくるかでイメージ、世界がガラリと変わる言葉だと思う。

引用した他の箇所「あるかなしかのおのが存在」も、タイトルの「我ら亡きあとに津波よ来たれ」も数えたらほぼ七七でそのまんま下の句になる。
あとは上の句を考えたら一首できるなあ、でも下の句丸々だと工夫がないし……

「楕円軌道」や「輪郭線」も一字足せば七音になる……
なんて指折り数えつ丸山作品を読んでいる酔狂な読者は私だけだろうか…。

それにしても丸山作品の語をカウントしてみると、五音七音のフレーズが多い。日本語の美を追求すると、五音七音になるのかも。

魂の無意識のフォルムはただもう素晴らしいの一語に尽きる

(「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻284頁)

人生の初口に立ち勝るその末尾が
くっきりとした輪郭線に縁取られ


(「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻285頁)

心情の楕円軌道

(「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻290頁)

のべつ先祖帰り的な動きをする
畜生同然の人間の生


(「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻290頁)

否認の余地がない因果の連鎖を背に

(「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻291頁)


互いに排除し合う無と有が織りなす
およそちんぷんかんぷんな意味における
あるかなしかのおのが存在


(「我ら亡きあとに津波よ来たれ」下巻296頁)



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