丸山健二「トリカブトの花が咲く頃」上巻を少し読む
ー丸山作品によく潜んでいる不思議の数、素数を見つけてみませんか!ー
直進する光
回析する光
反射する光
入り乱れる光
影と連動する光……
自制心を欠いた光
分けへだてのない光
瞬間の情趣をやどした光
気持ちを激しくゆり動かされる光
人間の下等性を容赦なく暴き立てる光……
(丸山健二「トリカブトの花が咲く頃」上巻61頁)
ある時期から、丸山作品に何らかの形で素数が潜んでいることが多くなったのではないだろうか?
たしかオンラインサロンでどなたかに2011年『眠れ、悪しき子』のページが素数であることを質問されて、丸山先生がこう答えていたように思う。
「頁の行数が素数になるようにした。素数にこだわると、流されずに律して書くことができる。素数は未だ解明されていないところのある不思議な数字だ」
うろ覚えだが、そんなことを丸山先生は言われていた。
その時は「素数にこだわって書いて、そんなに効果があるんだろうか……?」と半信半疑だった。
だが今年四月より短歌創作の講義を受けるようになって、素数にこだわることでリズムと律する流れが生まれる!と思うようになった。
短歌は五七五七七と素数が基本となる文学形式である。
それなりの事情がある時は字余り、字足らずになる。
五、七の字余り、字足らずはどちらも合成数である。
状況引用箇所は、巡りが原の光について書かれた箇所。
自然なイメージ、プラスのイメージの箇所の文字数(音ではない)は素数。
乱れる箇所、負のイメージの箇所は、合成数の文字数になっている気がした。
たぶん素数、合成数の文字のリズムが、わたしの頭に知らずしてリズムを刻んでいるのだと思う。
行数だったり文字数だったり……丸山作品の思いがけないところに隠れている素数の法則、読むのに疲れたら気分転換に見つけてみませんか?余計疲れてしまうでしょうか……
直進する光 (5字)素数
回析する光 (5字)素数
反射する光 (5字)素数
入り乱れる光 (6字)合成数
影と連動する光……(7字)素数
自制心を欠いた光(8字)合成数
分けへだてのない光(9字)合成数
瞬間の情趣をやどした光(11字)素数
気持ちを激しくゆり動かされる光(15字)合成数
人間の下等性を容赦なく暴き立てる光……(17字)素数