さりはま書房徒然日誌2024年3月25日(月)

丸山健二「千日の瑠璃 終結1」を少し読む

ー辛い過去もさらさらと、でもしっかりと流してゆく筆力ー

十二月八日は「私は日溜まりだ」で始まり、「年寄りたちに迫りくる死の足音を 意識の外へ追い出してしまうほどの 申し分のない日溜まり」が語る。

以下引用文。二人の老人が「目下死にかけている天皇」について話題にしている。昭和天皇のことだろうか。


老人たちのさりげないやり取りの中に、戦争責任へのはっきりとした丸山先生の考え方がうかがえる。

そんな厳しい現実を一瞬にして「聖なる領域へと」運び去る川の流れ。「聖なる領域」とは、どんな領域なのだろう?川の下流の茫漠とした感じが、戦争で亡くなっていった者たちの取り返しのつかない哀しみとかぶさってくる気がする。

厳しいことをさらりと書き、辛い現実を大きな哀しみに変えるところに魅力を感じる。

大分苦しんでいる様子ではないかと
   ひとりが言うと、

   もうひとりが
      自分だけあっさり死んでしまったのでは申し訳が立たないとでも
         思っているのではないかと言い、

         すると
            川面がきらきらっと光ったかと思うと
               かれらのそんな言葉を
                  聖なる領域へと運び去ってしまう。


(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」275ページ)

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