さりはま書房徒然日誌2024年4月10日(水)

丸山健二「千日の瑠璃 終結1」を少し読む

ー作者の理想像にも思えるストーヴつくりの青年ー

十二月二十四日は「私は口実だ」で始まる。
世一の姉が一方的に好意を抱くストーヴつくりの青年。姉がその青年に近づくための「口実」である。ストーヴつくりに没頭する青年の背後から、注文したい旨を伝えるが気がついてもらえず……。

以下引用文は、その後の展開である。高倉健が演じたら決まりそうな場面だと思いつつ読む。もしかしたらストーヴつくりに浸る青年は、丸山先生の理想とする姿なのかもしれない。
ガスバーナーの炎の動きは、たしかに「火花が織り成す抽象模様の次元」という描写がしっくりくると、思いもよらない表現に感心する。

しばらくして気を取り直した彼女は
   いつでもかまわないと言い
      気長に待つと言ってから
         相手の正面に回りこんで名乗ろうとしたとき、

         男は「わかった」とひと言呟いて
            ふたたび炎の色を青に戻し、

            火花が織り成す抽象模様の次元へ没入して
               二度と客に注意を向けななかった。


(丸山健二「千日の瑠璃 終結1」341ページ)

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