丸山健二『言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から』(田畑書店)より「初めまして」を読む
この本について年下の女性が「最初、私自身が読んでから、そのあと両親にプレゼントするつもりなんです。両親からどんな感想がかえってくるか楽しみなんです」と言われていた。そうか、この本に限らないけれど、良い本というものは異なる年齢をつなぐ存在なのだなあと思った。
以下引用文に年をとる切なさを思い、でも切ないだけではない素晴らしさも思う。「言の葉が束になってどっと溢れ出」る八十歳になってみたいものだ……その前に夜明けの執筆ができるように夜更かし生活を変えなくては……と反省。
芽吹きを待つ気持ちが募り、というか今年が最後の花見になるのではないかという切ない焦りに駆られたりもします。
たぶん、その反動のせいでしょう。凛とした夜明けの執筆では頭が異常なまでに冴え返り、言霊に限りなく近い言の葉が束になってどっと溢れ出ます。
(丸山健二『言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から』6ページ)
昨夜は気がつかなかったが、この本は表紙、花ぎれ(本文の天と表紙の間のリリアンみたいなもの)、しおりの色合いが美しい。他社の本と比較してみたけれど、こういう美しさを感じる本はなかった。
製本講座を少し受けてみて、ここまでビシッと決める難しさを知るようになった。
花ぎれやしおりを選ぶ頃には疲労困憊してヨレヨレで、適当に選んでしまっていた……のを反省。奧付きを見れば、装丁は「田畑書店デザイン室」とある。これから田端書店の本の装丁、隅々までじっと見て学ばせて頂くことにしよう。