さりはま書房徒然日誌2025年12月18日

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月二十二日「私は見切りだ」を読む

海から山国のうたかた湖に迷い込み、そのまま居着いたカモメ。

でも開発された山林を豪雨が襲い、水質が汚れたうたかた湖に見切りをつける。

以下引用文。鳥や湖、作者の怒りが見えながら、どこかこの世を離れた視点で見つめているような、そんな詩情も感じる。

水質の汚濁による
   餌の絶対量の不足と
      羽毛に染みついて落ちない土の色と
         悪しき激変に対する嫌悪感、


それはここ数日のうちに
   さらに深刻なものと化し、

自慢の純白すら満足に保てなくなったカモメは
   昨晩のこと
      不気味なほど赤い月の下で、

鳥類への被災者対策はないのかと
   そんな意味を込めた鳴き声を発した。


 (丸山健二『千日の瑠璃 終結7』362ページ)

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