Smith: The Theory of Moral Sentiments | Library of Economics and Liberty.
愛とは心地よいものであるが、怒りは不快な感情である。だから怒りの矛先をむけられながらも、友達が自分との友情を選んでくれると、私たちは大変心配になる。また自分がうけてもいい筈の好意なのに、友達が何とも思わないこともある。それでも友達のことを許せる。だが自分が侮辱されたときに友達が無関心であれば、我慢できなくなってしまう。友達が自分の怒りに共感しないときに、かえって感謝をすることがある。その感謝をうけとめてもらえなくても、私たちはさほど怒りはしない。友達になることを避けてとおることはたやすい。でも自分と一致しない人たちを敵にしないことは難しい。私たちはたまに、友達に憎しみをいだく相手に怒って、そうした人と危険な論争を好んでする傾向がある。だが相手が友達と親しくなれば、口論は真剣なものとなる。愛や喜びという心地よい感情は、付加的な喜びを生じなくても、心を充たし支えるものである。悲しみや怒りのような感情が苦々しく、苦痛にみちたものになればなるほど、共感してもらい、癒されるという慰めをますます強く求めるのである。(さりはま訳)