さりはま書房徒然日誌2026年4月1日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月二十七日「私は命だ」を読む

老僧が物乞いに語って聞かせる「命とは」「死とは」の話は、どこか遠い世界のことにも思える。

だが最後、オオルリを失って悲嘆にくれる世一が登場すると、命が、死が、突然あざやかな色彩を帯びて迫ってくる。

世一は命であり、死でもある……と思った。

そして
   そこの一軒家の軒に吊るされた風鈴を一回だけちりんと鳴らし
      空っぽの鳥籠を抱いて眠る少年を目覚めさせ、

なぜか心が酷く荒れている彼は
   ほどなく湖を見下ろす崖っぷちに立つと
      私のことを突き落とそうとした。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』109ページ)

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