アダム・スミス 道徳感情論 1.1.49 完璧さに基準を求めないで、同じ集団のなかで共通の尺度を用いてごらん

想像力に語りかけてくる全ての芸術の産物についても、同様に判断する。批評家が詩にしても、絵画にしても、偉大な匠の作品を仔細に検討するときには、心のなかで完璧かどうかという見地にたって作品をみる。人の心にしても、その手による作品にしても、完璧さには到達しない。こうした完璧さを求める基準と作品を比較するかぎり、欠点と不完全さしか見いだせないかもしれない。しかし、同じ類に属する異なる作品群という集団で考えてみると、完璧さを求める基準とはまったく異なる基準で、どうしても比較することになる。異なる基準とは、特定の芸術において達成される卓越した点についての、共通する尺度である。この新しい尺度で判断するとしよう。競合する大半の作品より完璧に近ければ、最高の賞賛に値するように見えるかもしれない。(1.1.49)

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