アルフレッド・マーシャル 経済学原理

こうした分析をしていく中において、経済学者は人をそのまま取り扱い、抽象的なものとしても扱わず、あるいは「経済的な」人としても扱わない。その代わり、血や肉のある人として扱う。経済学者が扱うのは、自分たちとおおいに関係のあるような仕事をする人生において、自己中心的な動機にかなり影響される人なのである。それはまた虚栄心や無頓着とは関係のない人たちであり、自分のために仕事をうまくやることに喜びを感じる人であり、家族や隣人、あるいは国のために自分を犠牲にすることに喜びを感じる人であり、自分自身のために徳の高い生活をすることを愛する人でもある。経済学者は人をそのままの姿で扱う。だが、主として人生のこうした面に関することは、動機に根ざした行動が規則的なものであるため、予測することが可能なのである。またエンジン動力の見積もりは、結果から証明することができる。このように経済学者は、科学的基礎にもとづいて分析を成し遂げるのである。(1..33

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